【コラム#10】

「明日は大安売りの日だから今日いるもの以外は明日、買いにおいで」と果物屋のおじさん

 

■ きれい事すぎやしないかアドボカシーマーケティング

 

2006年、米マサチューセッツ工科大学のグレン・アーバン教授の著書「アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業」このアドボカシーマーケティングの解説をいくつか読んでみた。

 

どうもしっくり来ない。

 

「顧客主導主義であれ」「目先の利益は追うな」「不利益な事も開示しよう」

 

きれいごとの羅列の様で上滑りな話ばかりだ。

 

アドボカシー(擁護・支持・弁護)と言う社会性たっぷりの冠に本来持つマーケティングの意味がもてあそばれている感がする。

 

そしてほとんどの解説者は「損して得とれと言うことでしょうね」などと締めている。

 

これではまるできれいごとを並べておいて結局、消費者を巧妙にだまして儲けましょう。悪徳商人がほくそえんでいる、そんな風景さえ思い浮かぶ。

 

■何もかもまるバレの時代だから……

 

インターネットの普及で商品の値段がまるバレです。インターネットの普及で口コミが蔓延し使った感想までもまるバレです。

 

これまでの様にガンガン広告を打てば何とか物が売れる時代ではなくなってしまいました。だからこれからの販売戦略はアドボカシーマーケティングです。主導権は販売側から消費者側に移ってしまいました。だから、これからは消費者ににじり寄らなくてはなりません。

 

こう解説してあげる方がまだしも素直でわかりやすい。

 

行き着くところ企業は利益を上げなければならないし、利益を上げる事が出来ないきれいごとだけのマーケティング論は何の意味もない。

 

■真のアドボカシーマーケティングには大英断

 

ただ、この解説も本当はアドボカシーマーケティングの本来の姿から大きくずれている。

 

冒頭にあげた果物屋のおじさんのセリフ。「明日は大安売りの日だから今日いるもの以外は明日、買いにおいで」このおじさんは消費者ににじり寄っているだろうか?きっとそんな気持ちはみじんもないだろう。おじさんは本当に心の底から「明日、買いにおいで」と思ってお客に言うのだろう。

 

これが例えばブティックの店員の言ったセリフだとどうだろう。「お客さん達、明日から50%offのセールだから今日買えば損ですよ」そんな事を言うときっと、この店員はクビだろう。

 

「損して得とれ」と下心たっぷりの戦略はいずれ消費者にバレて愛想をつかされる。かと言って「今日買えば損ですよ」とも言いずらいのが販売側の本音だ。

 

心の底から「おじさんの心」になれる事、それがアドボカシーマーケティング。現在の日本の企業(販売側)にそれだけの英断が出来るかどうか?

 

難しいところだろう。

 

■おまけ: こんなケースもアドボカシーマーケティング!

 

1.価格コムで最安値の座を奪われ一気に売り上げが落ちた。

(しかしこれ以上値段を下げると赤字だ)

 

2.値段以外で消費者が喜ぶサービスはないか?

(発送日を早めてみよう。オシャレな包装紙に変えてみよう。お礼の手紙を添えてみよう。などなど)

 

3.口コミが入った。

(「次の日来たので驚きでした(笑)」「丁寧なお礼文、ありがとうございます」「前回とは違う包装紙ですね。カワイイです」などなど)

 

4.依然、価格コムでは最安値ではないが口コミにより売り上げは回復してきた。

 

100%果物屋のおじさんの心になるのは難しいですが、あなたの会社にもまだまだおじさんの心に近づいていないサービスなどがあるのではないでしょうか?

 

それらを見つけ出すのもアドボカシーマーケティングの第一歩です。

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